概要
本ドキュメントは、AWS Billing Transfer を利用する際に、Ripple の CUR 連携で必要な対応・注意事項をまとめたものです。
主に、次の2つのケースを対象としています。
既存のPayerの請求を、別のPayer(Transfer先)へ移管する場合
Billing Transferで新しいPayerを追加する場合
Billing Transfer は 月単位での切り替えとなるため、移行タイミングと CUR 更新状況の確認が特に重要です。
参考:Billing Transfer 公式説明 AWS Billing Transfer | 請求管理を外部アカウントに転送する
前提と用語
用語 | 意味 |
Payer(請求元/請求先) | AWS の請求を支払う管理アカウント(請求管理) |
Transfer 元 / Transfer 先 | 請求の移管「される側」 / 「受ける側」 |
CUR | AWS 利用明細(Cost and Usage Report)。S3へ定期出力される明細データ CUR概要 |
S3 バケットパス | CUR 出力先のS3(例: |
Backfill | 過去期間のCURを再生成・補完すること(AWSサポート依頼が必要になることがあります) CURトラブルシューティング |
AWS Billing Transfer の基本動作
重要な制約(必ず確認)
移行は月単位(月中の切り替えは不可)
Transfer 有効化後、実際の請求金額(請求情報)は Transfer 先 Payer 側で取得する形になります
Transfer 後、移行前の CUR が更新されなくなる(またはエラーになる)ケースがあるため、移行後に CUR の状態確認が必須です
注意:移行後は「移行後の利用料金のみ」が計上され、移行前期間のCURは基本的に更新されません。必要な場合は「過去月データ(移行月含む)の扱い」を参照してください。
AWS Cost and Usage Report (CUR) の構成(Transfer時)
Billing Transfer を利用しても、1つの CUR に全 Payer のデータが自動集約されるわけではありません。
CUR は “Payerごと” に作成が必要です。参考:CUR作成 Creating reports
例:Payer B・Payer C を Payer A に Transfer した場合
必要となる CUR は以下のイメージです。
Payer A の CUR
(Payer A 内に作成する)Payer B の CUR
(Payer A 内に作成する)Payer C の CUR
Transfer 後の CUR 連携パターン(推奨)
推奨構成(Payer B → Payer A へTransferしたケース)
Payer A 内で「Payer B の CUR」を新規作成
Ripple 側の連携設定を、Payer A 側の S3 出力先(Payer B の CUR)に更新
Ripple は Transfer 先(Payer A)側の S3 から Payer B の CUR を取得する
推奨理由:Transfer 後は、Transfer 元(Payer B)側のCURが更新停止/エラーとなる可能性があるため、Transfer先に作り直したCURへ付け替えるのが安全です。
移行手順(やること一覧)
1) 移行前(必須)
現在 Ripple に連携している CUR の Payer アカウントと S3 バケットパスを記録する
Billing Transfer の 移行先 Payer アカウントID(例:Payer A)を確認する
移行は 月初から有効のため、移行予定月の前月末までに AWS 側の設定を完了する
2) 移行月初(確認)
Billing Transfer が 想定どおり月初から有効化されていることを確認する
CUR が更新されているか(もしくは旧CURが停止していないか)を確認する
3) 移行月に入ってから(Ripple側の作業)
Transfer先(例:Payer A)内に作成したPayer BのCURについて、S3バケット・プレフィックス・レポート名を確認する
Rippleの「支払いアカウント設定」→ Payer Bの「S3バケットの登録/変更」を開き、Billing TransferのトグルをONにして、新しいCUR情報を登録する
開始月は自動で当月になります。Billing Transferが開始された月のうちに登録してください
登録後、約2時間〜半日で取り込みが始まります。正しく取り込まれているか確認してください
過去月データ(移行月含む)の扱い
RippleでトグルをONにして登録すると、Rippleが月ごとに移行前のCUR/移行後のCURを自動で使い分けます。そのため、AWSへのBackfill依頼は基本的に不要です。
※トグルをOFFのままS3バケット情報を変更すると、移行前のCUR情報が上書きされ、過去月の再計算に影響が出る場合があります。既存Payerの切り替えでは必ずトグルをONにしてください。
連携がうまくいかないなど、対応が必要な場合は、以下情報を添えて アルファスまでご連絡ください。
アルファス連絡に必要な情報
移行前ペイヤーアカウントID
移行するペイヤーアカウントID
移行先ペイヤーアカウントID
移行タイミング(何月利用分から)
連絡テンプレ(そのまま使えます)
件名:Billing Transfer後のCUR連携について
本文:
移行前ペイヤーアカウントID:
xxxxxxxxxxxx移行するペイヤーアカウントID:
xxxxxxxxxxxx移行先ペイヤーアカウントID:
xxxxxxxxxxxx移行タイミング:
YYYY年MM月利用分から補足:発生している事象(例:データが表示されない、登録できない)
移行チェックリスト
確認項目 | タイミング |
現在の CUR の Payer アカウントと S3 バケットパスを記録している | 移行前 |
Billing Transfer の移行先 Payer アカウント ID を確認している | 移行前 |
Billing Transfer が月初から有効化されていることを確認している | 移行月初 |
Transfer 先(例:Payer A)内の S3 バケットパスを確認し、Ripple 連携設定を更新している(トグルONで、移行月のうちに登録) | 移行月 |
CUR が正しく更新されていることを確認している(更新停止/エラーがない) | 移行後 |
データが表示されない場合はアルファスへ連絡 | 必要に応じて |
よくある質問(FAQ)
Q1. Billing Transfer を有効化すると、1つの CUR に全 Payer のデータが集約されますか?
いいえ。CUR は Payer ごとに個別に作成が必要です。Transfer 先 Payer 内で各 Payer の CUR を作成・管理します。
参考:CUR概要 What is CUR
Q2. Ripple 側で Billing Transfer 向けの特別な設定は必要ですか?
ケースにより異なります。
既存のPayerを移行する場合:「S3バケットの登録/変更」でBilling TransferのトグルをONにし、新しいCUR情報を登録してください
新しくPayerを追加する場合(過去のCURがない):トグルはOFFのまま、通常のCUR登録と同じ手順です
Q3. 移行前から使っていた CUR はそのまま使えますか?
いいえ。Transfer後は、元のCURが更新停止やエラーになるため、Transfer先で新規にCURを作成してください。Rippleでは、トグルをONにして新しいCURを登録すれば、移行前の月は元のCUR、移行後の月は新しいCURが自動で使われます。
参考:CURトラブル対応 Troubleshooting
Q4. 月中での Billing Transfer は可能ですか?
いいえ。Billing Transfer は 月単位の移行のため、月中切り替えはできません。
参考:Billing Transfer AWS Billing Transfer
Q5. 移行前の過去月データはどうなりますか?
トグルONで登録していれば、移行前の月は移行前のCURを使って表示されます。Backfillは基本的に不要です。データが表示されない場合はアルファスまでご連絡ください。
参考:Backfillに関連する案内 Troubleshooting Cost and Usage Reports
Q6. 1つのS3バケットに複数PayerのCURをまとめてもいいですか?
はい、問題ございません。Payerごとに、空欄ではない別々のプレフィックスと、重複しないエクスポート名を設定してください。CUR作成時の請求ビューは「マイビュー」を選択してください。
参考リンク
Billing Transfer 公式(ドキュメント): https://docs.aws.amazon.com/awsaccountbilling/latest/aboutv2/orgs_transfer_billing.html
CUR トラブルシューティング / Backfill: https://docs.aws.amazon.com/cur/latest/userguide/troubleshooting.html
お困りの場合は
手順の途中でエラーが発生した場合や、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
📧 メール:ripple_cs@alphaus.cloud
💬 チャット:ダッシュボード右下からご利用いただけます
📖 ヘルプページ:https://help.alphaus.cloud/

